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ドライアイ

●ドライアイの定義
「様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」(2006年ドライアイ研究会より)
通常涙は、まばたきにより網目状の薄い膜となって眼球表面を覆い、乾燥や細菌の侵入などを防いでいます。しかし、ドライアイになると、涙液の減少および涙液の質的な異常により、涙で眼球表面を十分保護することができなくなって乾燥し、結果、角結膜上皮障害を起こしてしまいます。
ドライアイの自覚症状
・目が疲れやすい
・めやにが出る
・目がゴロゴロする
・目が重たい感じがする
・目が乾いた感じがする
・なんとなく目に不快感がある
・ものがかすんで見える
・目がかゆい
・光をみるとまぶしい
・目が赤い
・涙を流して泣けない
・まばたきが多い
・鼻が乾く
・口が渇く
●涙の働き
涙には油層・水層・ムチン層とよばれる3つの層があります。
油層:一番外側位置し、その下にある水を主成分とした水層が蒸発するのを防いでいます。
水層:水層は眼球の粘膜を潤すほか、角膜と結膜に栄養を届けたり、細菌の侵入を防いだりします。
ムチン層:一番内側にあり、角結膜の表面を覆い、涙液層を親水性にします。それにより水層が表面張力の影響を受けずに隙間無く広がることができます。
●ドライアイの原因
空気の乾燥
空気が乾燥していれば、涙は蒸発しやすくなります。このため、空気が乾燥している秋から冬にかけて症状がつよくなったりします。 エアコンの使用などで、空気が乾燥している場合も同様です。
まばたきの回数
私達は意識をしなくても、まばたきをしていますが、読書やパソコンなど、なにかに集中している状態の場合、まばたきの回数が減少します。これにより、涙の蒸発がすすみ、また、涙の補給が十分に行われなくなるため、涙の膜が途切れてしまいます。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズを装用していると、眼が乾燥することがあります。また、角膜が覆われてしまうので、感度が鈍くなったり、まばたきが不完全になることで、涙の出る量が減少します。
その他
アレルギー性結膜炎などでも、結膜のムチンの分泌が減少し、ドライアイになりやすくなります。
●ドライアイの診断基準
自覚症状 ×
涙液の異常
(1)シルマー試験Ⅰ法 5mm以下
(2)涙液層破壊時間(BUT) 5秒以下
(1)・(2)のいずれかを満たすものを陽性とする
×
角結膜上皮障害
(1)フルオレセイン染色スコア3点以上(9点満点)
(2)ローズベンガル染色スコア3点以上(9点満点)
(3)リサミングリーン染色スコア3点以上(9点満点)
 (1)・(2)・(3)のいずれかを満たすものを陽性とする
×
ドライアイの診断 確定 疑い 疑い 疑い
・シルマー試験法
涙液の分泌量を測定する試験で、涙腺の機能をみます。
試験用のろ紙をまぶたにはさみ、5分後に試験用の紙を外して、涙で濡れた部分の長さを測定します。
・涙液層破壊時間検査
フルオレセインを点眼し、まばたきを1回した後、涙液層が壊れるまでの時間を測定します。
・フルオレセイン染色
フルオレセインが緑色の蛍光を発することができるように、目にブルーの光を当てます。角膜の上皮の異常がある部位は、フルオレセインで染色されます。
・ローズベンガル染色
ムチン層のない乾いた部分が赤く染色され、その部分の角結膜では、涙の膜が途切れやすくなっていることがわかります。
・リサミングリーン染色
変性した角結膜上皮を染色します。
術後BUT短縮型 涙液減少型(軽症~中等症)
涙液減少型(重症) 薬剤性角膜上皮障害
ソフトコンタクトによる障害 マイボーム腺機能不全

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●ドライアイの治療
点眼薬で潤す
人工涙液を点眼することで、不足している涙を補給し、眼の表面を潤します。
涙点を塞ぐ
涙の分泌量が少ない場合、涙点を塞いで、涙を眼の表面に長くとどめる手法です。手術で塞いだり、涙点プラグとよばれる器具を涙点にさしこんで塞いだりします。
涙点プラグで塞いだ状態 涙点プラグによる治療前
 
涙点プラグによる治療後  
自己血清
患者さんの血清を薄めて点眼する治療法です。血清は涙と成分が似ているので、角結膜障害の治療に有効です。
フード付眼鏡
眼鏡のフレームにフードがついた眼鏡を使用します。眼を乾燥から保護し、また、フードによる風よけ効果も得られます。フード内のスポンジを湿らすことで保湿効果を高めることもできます。 その他
ムチンとドライアイ
ムチンについて
このページの最初の方で、ムチン層について説明しましたが、もう少し詳しくいうと、ムチンにはいくつかのタイプが存在し、高分子の糖蛋白で出来ています。粘液層での作用のほか、細胞接着の基質としてはたらき、また、眼表面を損傷から保護する効果もあります。  この他に、先程のべたように、涙液層を親水性にし、表面張力を減少させることで、涙液は眼表面に接着でき、また、均等に拡散することができるのです。

ムチンとドライアイ
ムチンとドライアイは相関関係にあります。眼表面のムチンは主に杯細胞・角結膜の表層の細胞・涙腺に存在します。ドライアイは進行すると、結膜細胞の扁平上皮化が起き、それに伴い、上皮細胞の面積が増えていくのに相関して杯細胞の密度が低下し、結果、ムチンの産生が減少してしまうのです。

将来の治療法
現在のドライアイの治療法は、上記にある通りですが、これらは対症療法方であり、根本原因に取り組むものではありません。原因に対処する方法として下記にあげる薬剤の開発が行われています。

新しい点眼薬
P2Y2作動薬(ジクアス点眼液3%)
涙の成分であるムチンや水分の分泌を促進し、涙の状態を改善することで角結膜上皮の障害を改善します。
通常、ドライアイの治療に用いられます。
ムチン層はドライアイの原因のなかでも重要な位置にあり、ドライアイの治療薬開発の鍵となると考えられています。
ドライアイ解析システム TSAS(Tear Stability Analysis System)
当院ではTSASを導入しました。TSASは角膜上の涙液層の安定性を測定し、開瞼時の変化を視覚化するソフトウェアで、RT-6000に搭載されています。これにより非侵襲的で客観的なドライアイの評価をすることができます。
●ドライアイの症状をやわらげる
・涙液の蒸発を防ぐ
直接クーラーなどの風にあたらないようにする。
テレビやパソコンの画面を眼より下に設置する。
(眼の開きが小さくなるので、涙の蒸発が少なくなります)
・室内の乾燥防止
加湿器を設置
・たばこの煙に注意する
・意識してまばたきする
・パソコンなどを使用した長時間作業の回避

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