
ICL(眼内コンタクトレンズ)について患者様よりよくご質問をいただいた内容を抜粋たしました。
すべてではございませんが、ご参考にしてください。
Q1.痛みはありますか?
手術は目薬の麻酔で、痛みはほとんど感じません。手術後の痛みもほとんどありません。1週間くらいころころする感じはあるかもしれませんが、その後なくなります。痛みを感じやすい方や恐怖心の強い方には笑気ガス麻酔での手術をお勧めしております。
Q2.何歳くらいで受けるのがいいのでしょうか?
当院での適応年齢は20歳から45歳までとさせていただいております。ICL手術を受けられる方の平均年齢は32歳くらいです。あまり若いと、その後に近視が進んでまた視力が低下してしまうことがありますので、成人になり、なおかつ、1年以上、近視の度が変わっていないことが望まれます。また、年齢の上限ですが、老眼がまだ出ていない頃、40代半ばまでに手術を受けられたほうがいいと言われています。ICL手術によって遠くが見えるようになる代わりに、近くを見るときに老眼鏡をかけなくてはならない可能性があるためです。
Q3.乱視は治りますか?
ICLでは、かなり強い乱視まで矯正可能です。度数では5D(ディオプター)まで矯正できます。レーシックに比べて矯正範囲も広く、また精度も高いと思われます。
ただし、眼鏡では矯正できない不正乱視(規則性のない、デコボコした乱視)は、残念ながら矯正できません。このような方はハードコンタクトレンズや特殊なコンタクトレンズでの矯正となります。
Q4.老眼は治りますか?
老眼は治せません。老眼がある場合は、遠くに合わせて、近くを見るときには老眼鏡をかけなくてはなりません。
Q5.手術後近視が戻ることはありますか?
ICLでの矯正はとても安定しており、長期に渡りよい視力が保たれることがほとんどです。ただし、まだどんどん近視が進んでいるような場合は、残念ながらまた視力が落ちてしまいます。これは眼鏡やコンタクトレンズと同様です。眼鏡やコンタクトレンズは度を変えればよいのですが、ICLを安易に入れ替えることはお薦めしません。なぜなら、入れ替えることにより目に負担をかけてしまい、角膜の大事な細胞が少なくなってしまうなどのリスクがあるからです。どうしても必要な場合は入れ替えも行いますが、少しの近視であればレーシックで矯正するほうが、目への負担は軽いと思われます。このあたりの選択は、主治医としっかり相談して決めていただけたらと思います。
Q6.手術後長期経過すると視力は変化しますか?
前述のようにICLは長期に渡り矯正効果が安定しています。しかし、人間の目は老化により少しずつ変化しています。例えば30歳でICLを受けた方も、10年経つと40歳になり、徐々に乱視が出てきたり老眼が始まったりします。
Q7.手術後、どれくらいで視力が安定しますか?
手術当日は、多少の炎症や手術中に使用した薬剤の影響などでぼんやり見えていますが、視力は数日から1週間ほどでよくなります。自然な見え方で安定するには個人差があり、1ヶ月から3ヶ月ほどかかります。また、レンズを入れるために切開した部分によって、一時的に乱視がでることもあります。そのため、手術後2~3週間は見え方が良くないことがあります。
Q8.手術後長期経過して何か支障が出ることはありませんか?
以前のバージョン(穴の開いていない)のICLでは、10年経過時に3.5%の方が白内障となり手術が必要となりましたが、現在のバージョンの穴の開いたICLになってからは、そのリスクが非常に少なくなりました。その他、レンズが濁ったり、緑内障など他の病気が出やすくなったなどの報告はありません。近視、乱視、老眼に関しては前述の通りであり、視力のわずかな変化は避けられません。
出展:Nakamura T. American Journal of Opthalmology 2019
Q9.ICLの手術をすると、白内障になりやすいのですか?
白内障の発症率は0.4%くらいでこれが主な合併症といえます。近視が強い方は通常より20年早く白内障になるといわれていますので、ICL手術をしなくても白内障になりやすいといえます。
Q10.ICLを受けた人は、将来、他の眼科治療は支障なく受けられますか?
ICLの利点は、レンズを取り出せば元の目に戻せるということです。つまり、取り出してしまえば白内障をはじめ、どのような手術でも支障なく受けることができます。目薬などによる通常の治療は、ICLを受けていても問題なく受けられます。
Q11.ICLを受けて、元の視力より悪くなることはありませんか?
ICL術後の視力はとても安定しています。10年経過した方のほとんどが1.0以上の良い視力を保たれております。中には若干視力が低下することがありますが、元の視力に戻ることはありません。ただし、非常に稀ではありますが、網膜剥離などの重篤な目の病気を起こした場合には、元の視力より悪くなることもあります。
Q12.ICL手術を受けて期待した視力に届かない場合はどうなりますか?
期待した視力に届かない原因が、矯正度数のズレや乱視が予想外に残ってしまった場合は、レンズを入れ替えることもありますが、非常に稀です。
Q13.ICLの手術後のレンズの「取り出し」や「交換」の必要頻度は?
ICLレンズは日々改良されていること、また、OCTという最新の器機を使って正確に計測を行ってレンズサイズを決定するようになったことで、レンズサイズの変更などの交換を必要とするケースは少なくなりました。度数のズレによる交換を含めて0.5%未満です。
Q14.ICLを取り出したら、本当に元通りの目に戻りますか?
ICLは何年経っても劣化せず、目の中で癒着することもありません。最初にレンズを入れた3㎜の創口から安全に取り出すことができます。つまり、レンズを取り出せば元の目の状態に戻すことができます。これが角膜を削るLASIKとの違いです。
Q15.ICL手術で失明することはありますか?
目の中に菌が入るなどにより、その可能性は0%ではありません。海外では、6000例に一つの割合(0.02%)で感染が起こったと報告されています。ただし、感染が起こっても最終的には視力を回復し、失明には至っていないようです。当院では十分な対策をすることにより、そのリスクを限りなく0%に近づけるようにしています。
Q16.手術後にハロー・グレアは、どれくらい感じるものですか?
ICLはレーシックと違いグレアは軽いですが、ハロー(光の輪が見える現象)は軽度のものを含めるとほとんどの方に出現します。ただし、それにより夜間の運転が困難になるようなことはなさそうです。術後1~3ヶ月ぐらいで脳も順応して、ほとんど気にならなくなります。
Q17.目に衝撃を受けた場合、レンズが割れたりしないですか?
ICLの素材はコラマーというアクリルとコラーゲンからできており、ソフトコンタクトレンズのように非常に柔らかいものです。折り曲げることもでき、強い衝撃を受けても眼内で割れることはありません。ただし、強い打撲によりレンズがずれることがごく稀にあります。その際はレンズを元の位置に戻せば視力も回復します。
Q18.レンズは一生入れっぱなしで大丈夫ですか?
眼内コンタクトレンズ(ICL)は、白内障手術に使われている眼内レンズと同じ素材でできており、耐久性や生体適合性が良い素材でできていますので、大丈夫です。
Q19.レンズが曇ることはないですか?
レンズは外気に触れることがないので、曇ったりすることはありません。レンズが入る部分は房水と呼ばれる水が循環していますので、汚れがつくことがなく、手入れは必要ありません。
Q20.目をこすっても大丈夫ですか?
手術直後は傷口が完全にふさがっていないので、こすらないように気をつけてください。
Q21.手術までの流れを教えて下さい。
適応検査・カウンセリング
・・・ICL手術ができるか検査を行い、今後の流れについてご説明いたします。
手術前検査
・・・レンズサイズ、度数決定のための検査を行います。
手術注意事項説明
・・・手術直前に来院いただき、術前術後の注意点のご説明を致します。
手術日
・・・実際の手術時間は20分程度になります。
術後
・・・術後の定期健診(翌日・1週間・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月)にお越しいただきます。
Q22.手術時間はどのくらいかかりますか?
実際の処置時間は片眼約10分、両眼で約20分です。手術当日は、ご来院から手術後の安静時間も含めて、約2~3時間でお帰りいただけます。入院の必要はありません。
Q23.仕事はいつからできますか?
手術後翌日は目を休める環境をつくってください。それ以降はお仕事をしている方がほとんどですが、車の運転を伴う仕事をされている場合などお休みを取っていただくこともございます。詳しくはスタッフにご相談ください。
Q24.手術後カラーコンタクトレンズを使うことはできますか?
3ヶ月くらい経って落ち着けば手術前と同じ生活をしていただけますので、コンタクトレンズを装用することは可能です。
Q25.眼内コンタクトレンズ治療はどのくらい前から行われているのですか?
眼内コンタクトレンズ治療は、1986年にヨーロッパで始まり、すでに30年以上の歴史があります。当グループ施設においては、2002年2月に手術を開始いたしました。
Q26.日本でどれくらいの人がICLを受けていますか?
日本国内では今から17年前の2003年にICLの臨床試験が行われました。その後徐々に認知度も上がり、手術をする施設や医師も増えたことにより、近年では手術を受ける方が急増しています。これまでに約2万5千人の方がICL手術を受けたと言われています。
Q27.フェイキックIOLとICLは違うのですか?
有水晶体眼内レンズのことを「フェイキックIOL」と呼びます。「ICL(Implantable Contact Lens)」は商標登録されたレンズの名前で、アメリカのStaar Surgical社製の後房型レンズ です。よって、フェイキックIOLの中に、ICLというレンズの種類があるとお考えください。また、日本で承認されているフェイキックIOLはICLのみです。
Q28.なぜクリニックによって料金が大きく違うのですか?
ICLは医療保険が適応されず、自由(自費)診療になります。つまり、保険診療のように統一された費用ではなく、施設ごとに費用を設定することができるわけです。医療はどのような治療でも見える部分だけでなく、見えない部分にもコストがかかっています。手術においては特にそうです。それは正確に手術を行うための事前準備だけでなく、手術への安全対策にも多額の費用がかかります。しかし、これらを省略して手術を行うことも可能で、それによってコストダウンができます。この部分は患者様には見えにくい部分でもあり、結果だけを見てしまうと、何ら変わらなく思われるかもしれません。当院では、何においても本当に大切なことは目に見えない部分にあると考えております。我々はこの見えない部分に十分なコストをかけることにより、安全・安心・正確な手術を常に心がけています。