パソコンやスマートフォンの画面を長時間見つめる現代社会において、クリアな視界を保つコンタクトレンズは日々の仕事や生活に欠かせないアイテムです。しかし、体に直接のせて使うコンタクトレンズは、眼科医による適切な処方と管理があってこそ安全に機能します。費用や診察にかかる時間、受診前に知っておきたいポイントを詳しく整理しました。

なぜコンタクトレンズの購入に処方が必要なの?

店頭やインターネットで手軽に入手できるイメージのあるコンタクトレンズですが、医療機関による検査と処方が強く推奨されているのには、明確な医学的理由があります。

コンタクトレンズは「高度管理医療機器」

コンタクトレンズは、心臓ペースメーカーや人工関節などと同じ「高度管理医療機器」に指定されています。これは、副作用や機能障害が生じた場合に人体へのリスクが非常に高いとされるカテゴリーです。角膜という極めて繊細な組織に直接接触させるものであるため、眼科医による厳格な診断のもとで使用を開始することが求められます。

処方なしで購入するリスクとは?

自分の判断だけで度数を決めて購入し続けていると、知らないうちに目に深刻な負荷をかけていることがあります。度数が合っていないレンズによる眼精疲労はもちろん、角膜の形(ベースカーブ)に合わないレンズがこすれて角膜に傷がついたり、酸素不足から重大な眼障害を引き起こしたりするリスクが存在します。また、自覚症状のない初期の病気を見落としてしまう原因にもなり得ます。

コンタクト処方までの流れ【眼科での手順】

眼科でコンタクトレンズの処方を受け取るまでの一連の流れを把握しておくことで、当日の受診が非常にスムーズになります。

ステップ1:眼科の予約

多くの眼科クリニックでは、待ち時間を最小限に抑えるためのオンライン予約システムを導入しています。特に忙しい仕事の合間や休日に受診する場合は、事前にスマートフォンなどからウェブ予約をしておくとスマートです。予約の際は、コンタクトレンズの検査を希望する旨をあらかじめ伝えておきましょう。

ステップ2:問診と検査

来院後、問診票に目に関する自覚症状や使用目的(デスクワーク、スポーツなど)を記入します。その後、スタッフの案内で視力検査や、目のピントを合わせる力を測る屈折検査、眼圧検査、角膜のカーブを解析する角膜形状計測など、複数の精密検査を順番に行います。

ステップ3:医師の診察

検査結果をもとに、眼科医が細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)を用いて結膜や角膜の健康状態、涙の量、ドライアイの有無などを細かく診察します。ここで目に傷があるなど異常が見つかった場合は、治療が優先され、コンタクトレンズの処方が後日になることもあります。

ステップ4:コンタクトレンズの選択と装用練習

目の状態に適したレンズの候補を絞り込み、テストレンズを実際に装着します。見え方や装用の心地よさ、レンズの動きを医師やスタッフが確認します。初めてコンタクトレンズを使用する方の場合は、自分でスムーズに着脱ができるようになるまで丁寧に練習を行います。

【費用】コンタクト処方の発行にかかる料金の内訳

受診するにあたって、どの程度の費用を用意しておけばよいのか、保険適用と自己負担の境界線を確認しておきましょう。

眼科での診察・検査費用(保険適用)

眼科で行われる視力検査や医師の診察は健康保険の適用対象となります。3割負担の場合、初診であれば一般的に1,000円から2,000円程度、再診であれば数百円から1,000円程度が目安です。なお、基本となる「コンタクトレンズ検査料」の点数は厚生労働省により設定されていますが、初診・再診の区分や、各医療機関の設備基準に基づく加算などによって、実際の受診費用や内訳は医療機関ごとに異なります。

コンタクトレンズ本体の費用(保険適用外)

処方されたコンタクトレンズの購入代金や、日々のメンテナンスに必要な洗浄液、保存液といったケア用品は保険適用外となり、全額自己負担となります。ワンデータイプ、2ウィークタイプなどの種類や、メーカーによって価格帯は大きく異なります。

【時間】眼科での診察・検査にかかる所要時間は?

仕事やライフスタイルに合わせて無理なく通院スケジュールを立てられるよう、所要時間の目安を頭に入れておくことが大切です。

初めての場合(初診)の所要時間

初めてコンタクトレンズを作る場合や、これまでとは全く異なるタイプのレンズに変更する場合は、各種検査に加えて着脱の練習時間が必要になります。そのため、受付から会計が終わるまでに、およそ1時間から1時間半程度を見込んでおくのが無難です。装用練習の目安は30分で終わる方もいれば、1時間以上かかる方もいるため、お時間に余裕をもってご来院していただくことをお勧めします。

2回目以降(再診)の所要時間

すでにレンズの扱いに慣れており、同じ種類で度数の微調整や定期的な目の健康チェックを行うだけであれば、スムーズに進むことが多く、およそ30分から45分程度で完了します。

コンタクト処方に関するよくある質問

受診前に解消しておきたい、コンタクト処方に関する代表的な疑問点についてお答えします。

Q. 眼科に行くときの持ち物や注意点はありますか?

受診の際は、健康保険証を忘れずに持参してください。また、現在使用しているメガネやコンタクトレンズ(およびケース)がある場合は、それらも持っていくことで、より適切な検査と診断が可能になります。目の検査に影響が出ないよう、アイメイクはなるべく控えめにして臨みましょう。さらに、散瞳剤という瞳孔を広げる薬を使った検査が必要になった場合、検査後5時間程度は視界がぼやけて光を眩しく感じやすくなるため、車やバイク、自転車での来院は避けてください。

Q. メガネの処方箋でコンタクトは買えますか?

メガネの処方箋を使ってコンタクトレンズを購入することはできません。メガネは目から離れた位置で光を屈折させるのに対し、コンタクトレンズは角膜に密着させて使用するため、必要となる度数(屈折力)が異なります。また、コンタクトレンズ特有のベースカーブ(湾曲度)などの数値もメガネの処方箋には記載されていないため、必ず専用の処方を受ける必要があります。

まとめ:目の健康のために必ず眼科で検査を

コンタクトレンズは、日常生活を明るく快適に彩ってくれる頼もしいツールです。しかし、目の上に直接のせるという特性上、些細な変化や無理な使用が大きな不調につながることもあります。定期的に眼科を受診し、最新の自分の目にしっかりとフィットした処方を専門医にしてもらうことで、仕事の生産性を高め、毎日の安心と健康的な視界を長く守り続けましょう。

解説医師

院長・眼科専門医

秦 誠一郎

専門分野

水晶体・網膜・硝子体手術・特殊コンタクトレンズ

略歴

平成2年3月:東邦大学卒業
平成2年5月:慶應義塾大学医学部眼科学教室入局
平成7年8月:眼科専門医取得
平成23年12月:スカイビル眼科医院院長