糖尿病網膜症とは
患者数は約690万人、予備軍を含めると約1,370万人にもなる糖尿病は、様々な合併症を起こしますが、その3大合併症のひとつで最も怖いとされているのがこの糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症にはいくつかの進行段階があり、悪化すると網膜の血管が詰まり、
その部分に血液が行き届かない虚血状態が生じます。
さらに、虚血となった部位に酸素や栄養を届けようとして、新生血管と呼ばれる異常な血管が発生することがあります。
この血管は非常にもろいため、破れて網膜の表面や眼球内に出血が広がると視力に大きな影響を及ぼします。
糖尿病網膜症の原因
糖尿病になると、高血糖状態が続く為に血管に負担がかかります。
網膜には細い血管が縦横無尽に走っており、特にその影響を受けやすく、 血液の流れが滞ったりすることで網膜の隅々まで栄養や酸素を十分に送れなくなってしまうのが原因です。
糖尿病網膜症の症状
ほとんどの場合、初期状態では自覚症状がありません。以下にあげた段階を経て病気が進行していきます。

単純網膜症
糖尿病で血管に障害がおきると、点状出血を起こしたり、普段は漏れ出さない血管内の成分が網膜に沈着して白斑という白い濁りができたりします。 しかし、この状態では自覚症状はほとんどありません。

前増殖網膜症
さらに点状出血や白斑が増えます。その他に、網膜の細小血管が拡張したり、血流が途絶えたりします。
危険な増殖網膜症の前段階なので前増殖網膜症と呼ばれますが、この状態でも明確な自覚症状はありません。

増殖網膜症
最終段階です。網膜の酸素不足を補うために新生血管ができます。この血管は非常にもろく、出血をし、硝子体へ広がっていくので、 硝子体出血や黒いものがちらつく飛蚊症がおきます。また、網膜剥離を起こす危険性もあります。
糖尿病網膜症の治療
血糖コントロール
初期の状態であれば、食事や運動、薬物を用いた療法による血糖コントロールを行い、血糖値を安定した状態に保つようにします。
レーザー光凝固
虚血部分にレーザーを照射して凝固させます。これにより必要酸素量が減少するので、新生血管の発生を予防することが出来ます。
なお、光凝固はその時点での視力維持が目的で、視力回復の手段ではありません。
硝子体手術
硝子体での出血が激しい場合や、網膜の表面に増殖膜ができたときに行います。
吸引カッターで出血を吸い取ったり、特殊なカッターで増殖膜を切除したりします。
抗VEGF療法
網膜の血管新生には、VEGFという物質が密接にかかわっています。
抗VEGF抗体を注射して、血管の新生を抑えるのが抗VEGF療法です。
解説医師
秦 誠一郎
水晶体・網膜・硝子体手術・特殊コンタクトレンズ
平成2年3月:東邦大学卒業
平成7年8月:眼科専門医取得
平成23年12月:スカイビル眼科医院院長